満身創痍の私たち

 

今だから言える。私たちは体調が悪かった

同行したMお姉さまは風邪をひいて咳が止まらなかった。飛行機に乗る前から龍角散とクララ細粒を放さなかった。私は風邪をひきはじめていた。そのうえ、顎の神経痛も患っているため、胃薬と鎮痛剤が手放せなかった。

成田第2空港で飛行機に乗るときからその効果(?)は気味の悪いほど発揮された。搭乗ゲートのナンバーを間違えて覚えていた。二人とも熱っぽく、うろ覚えだったのだ。飛行機に乗る。今度は座席を間違えた。「29のAとC(ビジネスクラスはBの席がない)」そう確認しながら、なぜか座ったシートは25番だった。そんなことには気付かなかった私たちは、大喜び(それはそうだろう。エコノミーのツアーなのにビジネスクラスに乗れたのだから)で荷物を上げ、くつろぎ、写真を撮っていた。そこに現れたのが、この席の本当の主。

あまりのことに気力を失った(それまで気力だけは残っていた)私たちは、「上海についたらドラちゃんに全てを委ねよう」と決心した。そう、上海のホテルで、ドラちゃんが私たちを待っているのだ。彼女は現在天津留学中。その彼女をわざわざ上海に呼びつけたのだ。18時間かけて寝台列車で来るという。きっと今頃は列車の中。そして私たちの泊るホテルのロビーでコンタクトするはずなのだ。「これ以上失態を繰り返す前に、全てを委ねよう」二人で強く念じたのも無理はない。

さて。前回書いたように私たちの飛行機は遅れた。どれもこれも上海空港の霧のせいである。霧のせいで着陸できなかったのだ。「こ・・・このまま香港にでも降ろされたら・・・」「それよりも成田に戻ったりしたらどうしよう・・・」そう。ホテルではドラちゃんが待っているはず。彼女は私たちの泊るツインの部屋に泊めてあげるつもりだったのだ。この状態をどうやって彼女に伝えられるというのか? でも、やっぱり私は運がいい。飛行機に関してだけは運がいいのだ。多少の遅れはあったもの着陸し(しかし、あの霧の中、よく着陸できたと思う。降りてみたら外は真っ白で何も見えなかったのだから)、ホテルに向った(ツアーなのでホテルまで送迎してくれる)。

一方その頃、ドラちゃんは列車が遅れてヒヤヒヤしたという。中国の列車、時刻表通りに走ることはまず無い。時刻表通りに発車するのだが、なぜか途中で遅れてしまうのだ。彼女も10時に到着するはずが、2時間遅れたというのでかなり焦ったらしい。それでもお互いに上海入りしたのが12時過ぎということで、ホテルでの再会は無事にすんだ。しかしねえ。ドラちゃん、なんか中国人っぽいよ。いいけどさ。え? ドラちゃんも胃を壊してるの? でも頭ははっきりしてるよね?

この日から3人で薬を飲みながらの上海歩きが始まったのである。まさに満身創痍・一蓮托生の3人である。休みたいとき、眠いとき・・・全て3人同じなのだから。

そして朝からツイテなかった私たち、帰りの集合時間を聞いておくのを忘れたのだった。

 

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