生煎 〜9日目〜

◆ 8月3日(火) 生煎

5時半に目が覚めた。「あんまり早く起きてもな……」と思ったので、そのままベッドでゴロゴロしていたけど、そのうちにゴロゴロするのにも飽きてきた。6時半になったので、エイヤッと起きて、さっさと身支度をした。
今日は上海に移動する。桂林とはサヨナラだ。せっかくなので出発まで、朝の散歩をすることにした。今まではホテルを出て左(北と西)にしか行ったことがなかったので、今日は右の方(南側)に行ってみることにする。このあたりは地元の生活が色濃く出ているところで、朝の食事をしている人たちをたくさん見かけた。その途中で、「そうか、桂林の名物はビーフンか」と気付いた。どの店も「桂林米粉」というメニューを掲げているのだ。「米粉」でなければ「河粉」と書いてある。ちなみに「米粉」は細いビーフンで、「河粉」はきしめんくらいの太さのビーフンである。「ちょっと食べてみたいな〜」と思ったけど、お腹がすいていなかったのでパスした。この次桂林に来ることがあれば、絶対試してみよう。
8時半にチェックアウトを済ませると、タクシーで空港へ。90元。桂林のタクシーはアバウトだ。ブンブンぶっ飛ばし、高速道路料金は10元だったにも関わらず、料金メーター70元に20元を上乗せして徴収した。そのうえ領収書は無し。君たち、そういう商売はよくないよ。
空港に着いたのは出発時刻の2時間前。タクシーの運転手が「国際線? 国内線?」と聞くので国内線の入口に連れて行ってもらったが、中に入ってみたら、国際線も国内線も1つのカウンターで手続きが行われていた。開いているカウンターは2つ。片方は団体客用で、もう片方が個人客用。私のチェックインはあっという間に完了し、待つだけの時間が残された。とりあえずベンチに座って空港を見回していると、そばにいたおばちゃんが話しかけてきた。同じ上海に行くらしい。「どこ行くの? 上海? 飛行機は? 上海航空? あら、一緒だわ。私なんか9時に来たんだよ。もうヒマでヒマで」と言うので、曖昧に頷いていたら、「アンタどこの人? 中国人でしょ? え? 日本人なの? (そこらへんにいる知らないおじさんに向かって)ちょっとちょっと、この小姐は日本人なんだって!」と一人で盛り上がっていた。ご苦労さまである。「で、桂林には何日いたの? 2日? 北京は行ったことある? 上海は? 広州は? 福建は? 福建はいいわよ。ぜひ福建にも行ってみなさい」と勝手に話を進められてしまった。出発まではまだたっぷり時間はあるものの、することもないので中に入ってコーヒーでも飲んで待とうかと思って立ち上がると、「ちょっとアンタ、飛行機が出るのはまだまだ先だよっ 今頃中に入ったら早すぎるよっ」と押しとどめられた。大きなお世話であるが、まあよい。適当に空港の売店でお菓子を買って食べたりして時間をつぶし、出発の1時間前(10時過ぎ)に中に入った。そして搭乗券に書かれている7番ゲートに行ってみると、そこには「9番ゲートに変更」という張り紙があり、9番ゲートのあたりでウロウロしながら時間をつぶした。そのうちに搭乗の案内があり、ゲートに並ぶとさっきのおばちゃんがフウフウ言いながらやってきて、「アンタがいないかと思って探したけど見つからないから心配してたわ。先に来てたんだね。9番に変更になったの、ちゃんと知ってたんだね。アンタ、賢いじゃない」とにっこりした。
飛行機は定刻通りに離陸。そのうちに機内食の時間になり、「ご飯か麺か」と聞かれたので麺の方を選択。食べそこねたビーフンを食べることができたので、善しとしよう。そうこうしているうちに上海に着いた。北京から桂林は2時間40分のフライトだったけど、桂林から上海は2時間10分。あっという間だ。空から見ると、上海は空気が汚れているのがよくわかる。全体に灰色っぽいのだ。かすんで見えるという感じだ。実際に空港に降り立つと蒸し暑く、夏の上海を侮っていたことがよくわかった。飛行機から空港まではバスで移動。今回は国内線なので浦東空港ではなく、虹橋空港である。ここも昔は国際空港だったんだけどな。今になってみると、小さくてボロい感じがする。そのうちに整備されてきれいに甦るのかなあ。
外に出るとタクシー待ちの行列が長く伸びていた。しばらく待っていると列はどんどん消化されていき、私の番になった。「あんたは向こうの3番目の車ね」と案内係に言われてタクシーのところに行くと……スキンヘッドに黒メガネの怖そうなおじさんが運転手だった。うわ〜、おっかない…… おそるおそるホテルを告げると知らないと言う。そこで地下鉄の駅を言ってみると(私の泊まるホテルは地下鉄の駅の上に立っている)、大きく頷いて車をスタートさせた。
相変わらず上海の道路は混んでいる。高速道路もノロノロ運転。なんとかならないのかね? それでも30分ほどでホテルのある場所に着いた。強面の運転手がホテルを見逃したので、私が指をさして教えると、すぐにホテルの真ん前まで連れて行ってくれた。車のトランクからスーツケースを出し、料金をぼったくることもなく、ちゃんと領収書もくれた運転手さんは、顔に似合わずとってもいい人でした。ホッ
ホテルのチェックインはスムーズにすみ、早速部屋に落ち着いた。基本的に中国のホテルには「シングル」というものがない。一人でもツインの部屋に案内され、ツイン料金を支払うことになる。今回のホテルではダブルの部屋に案内された。ベッドが広くてうれし〜い。適当に荷物を散らかしたところで、外に出てみることにする。とりあえず、もしものときのために1万円ほど両替しておいた。今朝のニュースで円高になったことを知っていたので換金率が上がっていることを期待していたんだけど、期待通りちゃんと上がっていた(米ドルと固定レートなので1ドル→8.2元くらい。北京に来たときが1万円→738元、その後1万円→733元、1万円→730元と下がっていたいたけど、今回は738元だった。ラッキ〜♪)。
まずは明日の下見ということでリニアモーターカーの駅を目指す。リニアに乗るには地下鉄で龍陽路駅まで行き、ここで乗り換える必要がある。私の泊まっているホテルは漢中路駅の真上にあるので、ここから1号線で人民公園駅まで行き、2号線に乗り換える。スーツケースを持った状態でも駅の上り下りは大丈夫そうだ。ホテルから龍陽路駅までは約35分。リニアは龍陽路駅から空港までをわずか7分半で結んでいる(車だと1時間くらいかかる)。チケットの窓口を見ると、片道50元、往復80元らしい。そうか、往復チケットを買って、空港を見に行く人もいるわけね(そもそも片道75元だったのが地盤沈下の影響で客足が遠のいたために値下げした)。朝8時半〜夕方5時20分まで、1時間に3本(20分間隔)で運行していると表示されていたので、ちょっと安心。よし、明日はリニアに決定だ。
その後、地下鉄で南京東路に戻って、生徒たちのお土産の飴を2kg分くらい購入。本当はもっと買いたいけど、多分これくらいが限度だろう。というのも、空港で預ける手荷物の重さに限度があるからだ。去年の夏、大連で重量オーバー(+10kg)で、あやうく超過料金700元を取られそうになった。今回の旅行では全て中国系の飛行機を使っているので、重量オーバーした場合、きっちりお金を請求されそうな気配がある。そこで、スーツケースの重さにだけは気をつけてきた。成田から北京へのフライトでは14.6kg(Yちゃんのスーツケースに入りきらなかったものを2kg分くらいが入っていた)、桂林へのフライトでは17.6kg、上海へのフライトでは17.5kg(減っているのは着るものや要らないものをどんどん捨てていったからです)だった。この調子で行くと、他のお土産も含めて、飴の購入限度は2kgということになる。さあ、明日の手荷物チェックで何kgと出るのか楽しみである。
そのままぶらぶら歩いて南京西路まで行き、ちょっと早めの夕ご飯を食べることにした。場所はもちろん呉江路の「小楊生煎館」。ふとメニュー表を見ると1両(小麦粉50グラム分=4個)が2.5元に値上がりしている! 去年の11月くらいに1.8元から2元に値上がりしたというのに、またもや値上げ。あらまあ。とりあえず2両注文してレジスターのところを見ると、新しい1元札が置いてある! 「あ、いいなあ。欲しいなあ」と思わず日本語で呟くと、「欲しい?」と聞くので早速10元分を新1元札に取り替えてもらった。へえ、緑色か。これで100元、50元、20元、10元、5元、1元と新札が揃ったわけだ。そのうちに私の番が来たので生煎を8個皿に入れてもらい、店の奥で食べ始めた。しかし、あれだね。この夏の暑い日に生煎は意外とヘビーだ。お腹の調子が万全でないこともあってか、4個食べたところで箸が止まってしまった。おいしいんだけどね。でも、もうこれ以上食べられない。生煎の中のスープをずるずる啜って、あとは残しちゃった。ゴメンネ。今度冬に来たら、たっぷり食べるから。店を出て呉江路を歩いていくと、2月に来たときに何度か食べた羊肉串の屋台が出ていた。よかった。まだちゃんと営業してたんだ。今度来たら、絶対食べよう。
その後、ちょっと休憩のつもりで南京西路のスタバに寄る。2月に来たとき、ここには何度も寄ったんだよね。2年前にも何回か来たし。上海(&北京)は、もう地図がなくても大丈夫だな。大体のところは歩けそうだ。ここで上海限定のタンブラーを2個買い、そのうちの1個分に付いている無料チケットでマンゴーフラペチーノの1杯飲んだ。これがデザート。しかし、飴2kgは重い。これを持って街をぶらぶらするのは無理だな、と思ったので、ちょっと早いけどホテルに戻ることにした。部屋に戻ってゴロゴロ。お風呂に入ってダラダラ。北京でマッサージしてもらったおかげで、ふくらはぎの筋肉痛は完全に取れている。ありがたい。
さて、明日はどこのスタバに行こうかな〜 だって無料チケットがもう1枚あるんだもん。ムフフ……
本日の歩数は13564歩。

[本日の教訓]
◎ 桂林のタクシーは意外と高くつく。
◎ 夏の上海を侮るな。


朝のお散歩でおにぎりのようなものを発見。
実際に買っている人もいました。


木の生えちゃった家もあるらしい。
集合住宅はこんな感じ。


閑散とした桂林両江空港。
カウンターなんか2つしか開いていない。


上海航空の機内食はこんな感じ。
牛肉河麺(ビーフン)はまあまあでした。


上海虹橋空港は国内線専用。
ここに来るのは7年ぶり。


到着ロビーも古くて狭い。
昔は国際線もここを使っていた。


南京東路の歩行街で見つけた。
この像はちょっとコワイ……


中国のマックも頑張ってます。
5元メニューを出しているらしい。


南京東路は相変わらず。


夜は生煎を食べたけど、
夏にはちょっとヘビーだった。
半分残しました。不覚。


上海のスタバでもタンブラーを買って
ドリンク1杯サービス券をもらった。


ついに出た毛沢東の1元札。
出たばかりなのに1999年発行って……

 

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