夜来香 〜3日目〜

昨日はさすがに疲れたのか、22時半に寝てしまった。今朝は目覚ましがなったのに、起きたのは7時。よく寝た。すぐに仕度して、軽く朝食。
で。実は昨日、タクシーで帽子を忘れたのだ。タクシーに乗る前に帽子をとり、タクシーを降りるときに忘れてきてしまったのだ。どうせなら、タクシー会社のオフィスまで行ってみようと思い、伝票の住所を頼りに上海の郊外まで行ってみた。会社の場所がわからず、ちょっとまごまごしたが、無事にオフィスを発見。ここで運転手に連絡をとってもらい、忘れ物を尋ねたが、帽子はなかったと言う。残念。無駄足だったか。まあ、よい。これもいい教訓である。これからはタクシーを降りるとき、帽子を忘れないようにすればよい(←他のものも忘れるなよ)。
明珠線(地下鉄3号線)に乗って、免税店に行く。昨日もらいそこねたプレゼントをもらうのだ。そのプレゼントとはパンダのぬいぐるみ。ちょっと顔立ちが……埴輪っぽいんだけど……
今日のメインイベントは終了! ではなくて、地下鉄で黄陂南路にある新天地に行くのだ。ここは前回来なかった場所。モダンというかネオというか、そういう場所である。新しいホテルや店が並び、ちょっとオシャレな街が出来ているのだ。日本で言えば、六本木ヒルズのようなものか。ここで、昨夜スタバでもらった無料チケットを使い、25元のモカを飲む。125元の買い物で25元のバック。うん、悪くない。のんびりコーヒーを飲みながら店内を見回していたら、マグがもう1つ欲しくなった。これ、おみやげにいいかも。そこでマグをもう1つお買い上げ。そしてまたもらえる無料チケット。上出来! 上出来!
その後、地下鉄を乗り継いで市内の北東にある魯迅故居と多倫路へ。そういえば、地下鉄も乗りなれてきた。最初、初めて交通共通カードを使ったときには、どうにもやり方がわからず、改札でオタオタしていたが、横にいたおじさんが通り方を教えてくれた。よっぽど私は「田舎者」だと思われたに違いない。そんな私も、今や地下鉄マスター。ほいほい乗れる。もう誰も私を田舎者だとは思うまい。上海駅での乗り継ぎだってバッチリだ。さすがに上海駅は田舎から汽車で出てきた人たちでごった返していて、改札の通り方や地下鉄の乗り方がわからなくてオロオロしている人が多かった。「ふふふ、田舎者なのね」と温かい心(?)で見守ってあげた。
魯迅故居は前回行ったので中には入らず、外から見るだけ。ここには魯迅個人のひっそりとした歴史が残されているのだ。外から見るだけで十分だ。そしてそのそばの多倫路を歩く。ここは昔の文豪達も住んでいた場所。今ではちょっとした観光コースにもなっている。この通りはきれいに整備されていて、学生達がスケッチをしたり、老人達がのんびり語らったりしている。ここを歩いているだけでもいい気分になれるが、その横道に入っていくと、そこには今も暮らしている人々の、生活がそのまま垣間見られる。ちょうど昼時だったので、肉まんを買いに来た女おねえさんや、麺を打つおにいさん、炒麺を作るおじさん、餃子を作るおばさん…… ここで暮らす人々の姿を見ているうちに、無くした帽子のことはどうでもよくなってきた。世界は広い。無くした帽子は確かにお気に入りだったけど、帽子の1つや2つ、また編めばいいさ。そんな気分になっていた。多倫路に戻り、ぶらぶら歩いていくと、なんだか毛並みのいい黒猫が椅子に座っていた。近寄っていくと、猫はすっかり私に懐いた様子。撫でるとひっくり返って「もっと撫でれ」と催促する。飼主らしきおじさんに名前を聞くと「小黒(シャオヘイ)」だという。早速名前を呼びながら戯れていると、おじさんは私が日本人だと気付いた様子。片言の日本語で話し掛けてきた。私がその場を立ち去るときは「マタ来テクダサイ」と声をかけてくれた。猫好きには猫好きなりの親切というものがあるのだ。
そして今度は南京路に戻る。そう、今日はここにある吉野家で牛丼を食べるのだ。BSEの影響で日本の吉野家から牛丼が消えるということがなければ、来ることはなかったに違いない。でも、たまにはこういうものを食べるのもいい。そこで「牛肉飯(12元)」を注文。ファーストフード形式で、カウンターで注文し、お金を払い、丼を受け取り、テーブルに運んで食べる。メニューは牛丼だけでなく、鶏丼や豚丼、アイスクリームやコーヒー、ケーキもある。私はノーマルに牛丼を食べて日本のものと味比べをする。うん、多分日本の吉野家と味は同じ。ごはんも日本のものと同じ。おいしいじゃん。店は広くてきれいだし。トイレもきれいだ。完璧。これからは何かあっても吉野家があるから安心だ(←何が?)。
そして、今日の本当のメインイベントである本屋へ行く。上海で一番大きい上海書城という書店が、南京東路のそばの福州路にあるのだ。ここで本とVCDをたっぷり買う。すると、手持ちのお金が尽きてしまった。このままじゃ夕ごはんも食べられないよ。仕方がないので、近くにあった中国銀行で1万円ほど元に替える。……レートが下がってるよ。懐も暖かくなって、しばらく外灘を散策した後、一旦ホテルに帰ることにする。そもそも本とVCDが重くて、これ以上歩けないよ…
ホテルで小休止して、夕ごはんに出かける。今日は火鍋を食べるのだ。2年前に行ったあのお店、まだあるかな。ちょっとドキドキしながら、夜の新天地から雲南南路までてくてく歩く。そして……曲がるべき場所を通り過ぎる。ふと、何か変だと気付き、地図を見ると、ちょうど曲がり角を通り過ぎたところだった。危ない、危ない。全然違う場所に行っちゃうところだった。こういうのを野生の勘というんだな。そして、無事に雲南南路美食街に到達。今日も糖葫蘆を2本買い、今夜のおやつにする。2本あれば明日の分も大丈夫だ。そして歩いていくと、あった、あった!「老四川」が。そうそう、ここで2年前に火鍋を食べたんだっけ。早速店に入ると、中央の席に案内された。ここでまず、ベースとなる鍋の種類(スープ)を選ぶ。そしてタレも選び、いよいよ具を選ぶ。羊は食べるでしょ。牛も食べるでしょ。あと、日本では高いから滅多に食べられない香菜も食べるでしょ。あとは豆苗とカリフラワーを注文。すると、お店の小姐が「羊肉を食べるなら、冷凍のじゃなくて、生の新鮮なのがいいわよ」と言う。「今日のおすすめは新鮮な羊肉なのよ」とのことだったので、冷凍のはやめて、新鮮な羊肉を頼むことにする。そういえば、店の入口で羊を切り分けてたな。そして鍋、登場。続いてタレが登場。そして野菜と肉が並ぶ。さあ、シャブシャブしましょう。羊、羊っと。うわーーーっ これ、おいしい。やっぱり冷凍じゃなくて生の羊は最高だわ。ぎゅっと旨みが詰まったような味わい。これ、今まで食べた羊の中で一番おいしいかも。早速おねえさんを呼んで、「羊、すごくおいしいよ!」と感動を伝える。おねえさんもにっこりしていた。
お腹がはちきれそうなくらい食べ、帰りは南京東路まで歩いた。そう、腹ごなし。2年前もそうして帰ったんだっけ。南京東路はおのぼりさんでいっぱい。ガイドさんに連れられたツアー客があちこちにいた。
ホテルに帰り、お風呂のあとはデザート。そう、糖葫蘆ね。この甘酸っぱさが好きなんだ。日本でも食べられるといいのにな〜
さあ、今夜もいい夢を見ましょう。
(旅行中の日記を再構成しました)


免税店のパンダコーナー。
いろいろなパンダ製品があるのねえ。


ツアーのおみやげでもらったパンダ。
微妙な顔立ちをしている。


上海の新名所、「新天地」。
ここはモダンとレトロが交錯する。


マックカフェを発見!
メニューもドリンクやマフィンでカフェそのもの。


多倫路には古い建物も多い。
学生達があちこちでスケッチしていた。


おじいさんたちは中国将棋。
老人達の憩いの場にもなっていた。


多倫路には文豪の家のほかに、
現在住んでいる人たちの通りもある。
ここには確かに生活があった。


とても懐いてくれた小黒ちゃん。


昼間の南京東路。
平日でも人出は多い。


こんなこと(BSE)でもなきゃ食べなかった牛丼。
上海の吉野家はメニューが豊富だった!


羅森(ローソン)のお弁当。
おいしそうな気もするし、そうでない気もするし…


外灘から浦東を望む。
東方明珠塔もしっかり見えた。


上海書城でVCDを買ってきた。
トトロもスティッチもニモもあるぞ!


夜の「新天地」。
いい雰囲気です。


おのぼりさんのツアーもいて
新天地はにぎやかでした。


雲南南路美食街は庶民的なレストラン街。
お目当てはここにある火鍋屋さん。


「老四川」は2年前にも来た店。
今日のおすすめは生の羊肉だそうです。


羊がおいしかったので完食。
香菜ももちろん完食しました。


夜の上海は本当に妖しい。
魔都とは上海にふさわしい形容である。


ライトアップされた街並みは
外国に来たみたい、……って、外国か。

 

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