四面秦歌
〜4日目〜
起きたら7時半だった! 慌ててスーツケースにパジャマを詰めていると8時になり、ポーターがスーツケースを取りに来た。うひゃあ、もうそんな時間? 慌ててスーツケースを渡し、私達は朝食を食べに出た。今日は最終日。糊辣湯を食べるのだ。野菜や肉団子の入ったスープに、焼きパンのようなものをちぎって入れる。これをズルズルと啜って食べるのだ。エンちゃんと二人で1椀を食べた。その後、買い物をしながらブラブラし、私は2日目の朝に食べた油肉餅(そう、これは“油肉餅”という名前だったのです)をまたまた購入。あっという間に9時を過ぎ、9時半の集合時間が近づいたので、私は一足先にホテルへ、エンちゃんは郵便局へ行った。 続いて、西安最後の観光、城壁散策をした。まずは南門を上り、市街の南側から四方を眺める。みんなは城壁を車に乗って移動すると言うので、私達は一足先に南門を出発した。そう、これから西門まで歩いて行こうというのだ。城壁は市街の周囲13kmを廻っている。その1/4を歩こうというツワモノ(全然ツワモノじゃないけど)は、私とエンちゃんしかいなかったのだ。みんなが買い物や休憩をしている間に出発したというのに、南側の城壁を半分くらい来たところで、車に追い越されてしまった。悔しい! あんまり悔しいので、とりあえずその辺にあったトイレに入り、「うーん、こんなこと、歩かなきゃできないよねー」と負け惜しみを言ってみた。結局45分ほど歩き、ようやく西門に到着。みんなはシルク絨緞の土産物屋で待っていた。私達が入っていくと拍手で迎えられ、「いや〜、若いですね」と言われたが、そりゃあ年配の夫婦に比べたら赤子同然である。「時間はどのくらいかかりましたか?」と聞かれたので45分と答えると、「ほほう、じゃあ1周すると3時間かかるわけですね」などと当たり前のことを言われ、苦笑。お茶を飲んで休憩してから、城壁を下りることになった。でも、負け惜しみではなく、歩いてよかった。城壁の中と外。それをじっくりと観察しながら街の様子を見ることができて、本当によかった。 空港まではバスで50分。道が混んでなくてよかった。空港の真ん前にある航空酒店で昼食を食べた。そしてやっぱりここでも麻婆豆腐が登場。うーむ、これじゃあ中国人は毎日麻婆豆腐を食べるって誤解されちゃうよね。たまには違う豆腐料理が出ればよかったのになあ。でも、昨夜、金さんに「結構脂っこいものが多くて、食の進まない人も多いから、野菜料理を多めにした方がいいのでは?」とアドバイスしておいたので、メニューには青菜炒めや、セロリ、キュウリの皿が並び、評判は上々だった。 食事が終わると空港に行き、金さんが全員分の航空券を搭乗券に替えてきてくれた。次は全員揃って、健康審査。これはエンちゃんがまとめて全員分の書類を管理し、一人ずつゲートをくぐっていった。私も最後にゲートをくぐり、スーツケースの預かりへと進んだところで、大変な騒ぎになっていた。何をどうしていいものやらわからなくなった烏合の衆が、右往左往していたのだ。ここでもエンちゃんが添乗員として大活躍。なんとか全員が無事にセキュリティチェックと手荷物検査を通過し、飛行機への搭乗を待った。私達が出国するとすぐに搭乗が始まったので、土産物を見る余裕は全く無し。すぐに飛行機に乗って、ほっと一息ついた。 飛行機は定刻の15時半に離陸し、順調なフライトを続けている。そして、中国時間の14時に昼ごはんを食べたというのに、日本時間の17時(中国時間では16時)にもう、機内食が出てきた。そんなにすぐには食べられないって。(^^; それでも、出てきた機内食の半分に手をつけながら、この4日間のことを振り返った。行く前の天気情報ではマイナス17度という気温を見てビックリしたものの、実際にはそれほど寒くなくて、過ごしやすかった。しかも、天気は珍しく、晴れ。最終日の今日、若干曇っていたものの、それ以外は本当にお天気がよかった。風もほとんどなく、そのせいで寒さを感じなかったのかもしれない。ただ、空気が乾燥していて、喉がガラガラ。ずっとのど飴をなめて過ごした。いつもは一人であちこちフラフラ歩き回っているけど、今回はツアーということで、どこへ行くにもバスが連れて行ってくれるので、本当に楽だった。ただ、自分の見たいところをゆっくり回ることができなかったのが残念。ぜひもう1度西安に来て、じっくりと石碑を見たり、博物館を歩いたり、今回食べられなかった「羊肉泡[食莫]」を食べたりしたい。お土産も、もっといろいろ見てみたいし、街の中も歩き回ってみたい。数年後、兵馬俑坑の2号坑の発掘が完了した頃に、もう一度訪れてみたいものだ。 ふと、飛行機の窓を覗くと、眼下にはどこかの街の灯りが輝いている。北京か天津か……いずれにしろ大都市であろうが、すでに真っ暗な闇に包まれた窓外は判別が不可能である。今回の旅、格安のツアーということでかなり不安だったが、実際には楽しい旅であった。本当によかった。 日本へは定刻より若干早く着き、他のツアー客と別れの挨拶を交わし、家路へとついた。添乗員と化していたエンちゃん、ご苦労さま。 (旅行中につけていた日記に加筆・修正したものです。なお、タイトルの「四面秦歌」は“四面楚歌=周りが敵に囲まれていて孤立無援の状態”をもじったものです) |
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西安名物の「柿子餅」。 このあたりは柿とサツマイモが名産。 |
糊辣湯には焼きパンをちぎって入れる。 体があたたまるよ。 |
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油肉餅は、パリパリサクサクして これは庶民の味ですね。 |
このあたりの名産のもう1つがザクロ。 今の季節のものはあまりおいしくないらしい。 |
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清真大寺はこちらへ。 途中の参道には土産物屋が並ぶ。 |
市内最大のイスラム寺院。 でも、見た目は普通の寺である。 |
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柱に書かれた「寿」の文字。 これ、全て「寿」なんです。 |
境内(といっていいのか?)には 今を盛りに蝋梅が咲いていた。 |
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城壁の南門から市内を眺める。 いよいよ西安とも今日でお別れ。 |
南門をくぐる人と車。 唐代の城壁はもっと外側にあったらしい。 |
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城壁に敷き詰められたレンガ。 その全てに産地が記されている。 |
私達を追い越していく車。 やっぱり車は速いね〜 |
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城壁南西の角。 万里の長城を思い出させる。 |
南西の角にある場所は、 中心で喋るとこだまが返ってくる。 |
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西門にあるシルク絨緞の土産物屋。 ここで絨緞作りのデモンストレーション。 |
シルクの絨緞(もちろん売り物)に 満足げに座っている犬。 |
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西安咸陽空港の出発ロビー。 何となく上海の浦東空港に似てるかも。 |
空の上から夕焼けを見る。 東へ移動しているので落陽が速い。 |
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