ホット・チャイナ 〜6日目〜

この日は朝から暑かった。いつもの6人で朝食をとり、私は夕ご飯のためにパンをくすねてきた。「このピータンも持っていきなさい」と言われ、すっかりいい気分で武漢のフェリーターミナルに到着。知り合いのさらに知り合いを頼り、まずは電話。北京までの切符を買っておいてもらったのだ。すぐに来てくれるというので、武漢の地図を眺めながら、港の待合室で待っていた。

待つこと40分ほどで黄さんは来てくれた。まずは昼食を食べに行こうというので、早速案内してもらう。「武漢で一番おいしい店」と黄さんが言うだけあって、なかなかの味。名物の「過江柴魚」は薄く切った白身魚を、熱した油にくぐらせる。これを客のテーブルでやってしまうのだ! 飛び跳ねる魚のスライスが、長江を泳ぐ魚を思わせるらしい。この他にも「臭豆腐」の炒め物や「片皮鴨」(北京ダックのようなもの)をご馳走になる。すっかりお腹いっぱいになり、そのまま黄鶴楼まで案内してもらう。「今日は1日つきあうから」と言われ、かなり恐縮したが、黄さんのおかげで本当に助かった。

黄鶴楼では武漢の街の話などを聞き、駅では列車の中まで荷物を運んでもらった。中国を旅するとき、知り合いがいないととんでもなく苦労するが、ちょっとした知り合いでもいると本当に助かる。汽車の切符を取るというのも、本当はとんでもなく手間がかかるのだ。今でこそインターネットで切符が買えるようになったようだが、それでも大変なのには変わりない。

さて。汽車。私は前から決めていた。「今度こそ食堂車でご飯を食べる」と。前は買ったパンをかじったり、車内で売っている弁当を食べたりしていたが、食堂車は利用したことがなかったのだ。ウキウキしながら食堂車に行き、牛肉とニガウリの炒め物を食べた。相変わらずご飯がボソボソだったことを除けば、まあまあの夕食だった。自分の席に帰ると隣のベッドの男の人が放しかけてきた。日本の歴史教科書書き換え問題、石原東京都知事の発言、日本の中国侵略は正しかったか、日本にとって中国は脅威か…… そんなことを私に聞かれたって、日本人全員の考えはわからんぞ。私なんかに聞くなって。それでも聞かれたことには真面目に答え、精神的に疲れてそのまま寝てしまう……

[教訓]
遠い知り合いでもいいので、とにかく知り合いを見つけよう。
頼れるのは(基本的には)自分だけ。いい人か悪い人か見極めるのも自分。

 

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武漢の街並み。
空気が悪くて、向こうが見えなかった。


ゴミ箱。
分別回収して効果があるのでしょうか。


黄鶴楼。
昔は2階建てだったんですって。


武昌駅。
武漢には武昌・漢口・漢陽の3つのエリアがある。


本日の宿は特急列車の寝台車。
結構きれいな車両でした。


初めての食堂車。
味はまあまあでした。

 

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