中国大使館にて

 

Mお姉さまと私のビザを申請に行ってきた。これはいつものこと。複数で旅行する場合は仕事を分担するに限る。主な仕事は「旅行社との交渉」「ビザの申請」「会計」くらいだろうか。私はいつもビザを申請する係。さて、そういうわけで中国大使館に出掛けてきた。

この中国大使館がなかなかの曲者。朝の9:30から11:30までしか仕事をしない。電話をかけても誰も出ない。しかも仕事方針がしょっちゅう変わる。しかも延々待たされる。嫌な思いをしたくなければ手数料7000円を払って旅行社にお願いした方がよい。

さて、ある火曜日、私はMお姉さまの分と併せて2枚の申請書を持って行った。「日本人関係」と掲示のある窓口に並ぶこと30分(前には5〜6人くらいしか人がいなかったのに・・・)、ようやく私の番がやってきた。去年も一昨年もパスポートと申請書と写真だけでOKだったけど、今年はどうかな・・・不安がよぎる。いきなり住民票の提出を求められても今日は持ってきてないしな・・・イライラしながら待っていると、係官がMお姉さまのパスポートと申請書を返してきた。理由を聞くと「本人の申請以外は受け付けない」と言う。去年も一昨年もその前も、ずっと代理人申請で受理されていたので、いきなりの言葉にうろたえてしまった私。思わず、「どうしてですか? 今までは代理人申請で受理されてました」と聞き返した。

この係官、何て言ったと思う? 「代理人の申請はできません」と言うわけ。呆気に取られた私は「えっ? いつから変わったんですか?」とさらに聞き返した。これに対する係官の答えは「規則は変わっていません。前から代理申請はできません」。これを聞いて怒りがこみあげてきた。何と言っても私は今まで他の人のビザの申請をやってきたわけだから、「前から代理申請はできません」なはずがないことを知っている。何度そのことを説明しても「できません」の一点張り。「○○から規則が変わって代理申請ができなくなりました」というのなら話はわかる。私もあっさりと引き下がっただろう。挙げ句の果ては、「証拠はどこにありますか?」「私は公務員です。私の言うことが信じられないのですか?」と私をうそつき呼ばわりしはじめた。私は自分の経験を話してるだけ。それを嘘だと言われてはいくら温厚な私でも過激になる。試しに「あなたの名前は何?」と聞いてみた。正しい仕事をしていれば、自分の名前を名乗れないはずがないからだ。すると案の定「私は言いたくない」ときた。「どうして名乗れないの?」と聞くと、「名前を名乗るかどうかは私の自由です」と屁理屈をこねはじめた。人間、自分の名前を名乗れないような仕事をすべきではないと思う。この係官が自分の名前を言えないのは、職務を怠っているからに間違いない。(こういう係官は、「能力はないがコネはある」というタイプであろう)

後ろに誰もいなければ1時間でも2時間でもねばって申請を受理してもらうつもりだったが、20人近くの人が申請を待っていたので、怒りがおさまらないまま私はMお姉さまのパスポートと申請書を引き取って大使館を後にした。そして受け取りの日付を見たら8日後だった。(通常は7日後が受け取りの日。あの係官は日付の計算もできなかったらしい)で、8日後は忙しい曜日だったため、さらに翌週の火曜日に受け取りに行った。(受け取りが7日以上遅れると保管料として1000円取られるのでご注意を!)

この受け取りがまたちんたらちんたらしていて、窓口に大勢並んでいるのに、奥に入ってお茶を飲んでいる。ここでもかなり時間がかかったが、それ以外にはいやな目にはあわなかったと思う。

一応中国の名誉のために言っておく。「待たされる」「規則が変わる」「仕事時間が短い」と言うことに対して不満はあっても怒りを感じることはない。国が違えば事情も違う。これが中国のやり方なのだから。ただ、私をうそつきだと決めつけたあの態度だけは許せないと思った。こうして中国に行く前から、中国の雰囲気を堪能してしまったのである。

 

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